適正化のための運用の見直しについての考察 PART1長期頻回施術理由(7/4 RENEW)

2023/07/31

いつもお世話になっております。ミニッツシステムの仁藤です。
本文は 5/8に掲載した 「長期頻回施術理由」のついての考察ですが、
改定より2ヶ月が経ち、掲載当時に比べ不明瞭な部分もクリアになってきましたので、文章の追加 訂正をおこなった リニューアル版になります。

ご周知の通り25年5月1日より、柔整・鍼灸・マッサージの療養費改定が施行されました。
4月下旬に 料金の決定・運用の見直しの疑義解釈資料が厚労省より出ましたが、通達文章だけでは、不明な点が多々あり、詳細について明確な通達がない為、
皆様も困惑されているかと思われます。

特に「適正化のための運用見直し」の部分に関しては不明瞭な部分が多く、残念ながら、柔整業界として「どうしたらベターなのかわからない」というのが現状でしょう。

今回からこの「適正化のための運用見直し」の考察について記載致しますが、
正直 私も「どうしたらいいのかわかりません。」
ただ改定は始まっていますので、手探り状態でも対応していかなくてはなりません。
タイトルに 「適正化のための運用の見直し についての考察」と記載したのは一個人の見解であり、
申し訳ないのですが、正しいのか間違っているのかも分からないので考察とさせていただきました。
皆様の判断材料の一つとしてお読み下さい。

尚、5月26日(日)に療養費改定のセミナーを開催致しますので、
詳しい話をお聞きになりたい方は是非ご参加下さい。
※セミナーは終了致しました。

では本題に入ります。
以下文章内[問・○]は「25年5月療養費改定適正化のための運用見直し」(疑義解釈資料)を参照しております。

適正化のための運用の見直しについての項目は下記6つになります。


1・打撲・捻挫の施術について、3ヶ月を超えて頻度の高い施術を行う場合に、
支給申請書に、負傷部位ごとの経過や頻回施術理由を記載した文書の添付を義務づける
2・施術者が経済上の利益の提供により、患者を誘引することを禁止する
3・支給申請書における患者が署名すべき欄に、施術者が代理記入するのは、
「やむを得ない理由がある場合」であることを「やむを得ない理由」の例示とともに、
受領委任の協定等に明記する
4・支給申請書に患者が記載する事項として、郵便番号、電話番号を追加する
5・施術管理者に対し、柔道整復師名の施術所内掲示を義務づける
6・施術者に対し、療養費を請求する上での注意事項の患者への説明を義務づける

2・施術者が経済上の利益の提供により、患者を誘引することを禁止する
については[問・3][経済上の利益の提供の関係]に一例ですが説明があるので割愛

3.6については[問・4][問・8]に記載があるのと従来より、おこなっていなくてはならない事なので割愛

5についても[問・7]にて具体例があるので割愛します。

残った2項目が請求部分に関わる項目になります。

1・打撲・捻挫の施術について、3ヶ月を超えて頻度の高い施術を行う場合に、 支給申請書に、負傷部位ごとの経過や頻回施術理由を記載した文書の添付を義務づける。

4・支給申請書に患者が記載する事項として、郵便番号、電話番号を追加する

以降 それぞれ「長期頻回施術理由」 「郵便番号/電話番号」 と略称します。

1・「長期頻回施術理由」

A 該当条件

初検日から3ヶ月を超えた継続部位で、1ヶ月の施術日数が10回~15回以上に該当するもの。
(捻挫・打撲・挫傷の記載の為、骨折・不全・脱臼は該当せず。)

従来どおり、長期継続理由の記載が必要な部位で、かつ該当部位の実日数が長期該当日から数えて10回~15回以上のものに対して、頻回施術理由の記載が必要という事になります。 (下図 例参照)*以下より 長期頻回施術理由 該当回数を “10回”で記載しています。


例1)初検日 2月20日 → 5月20日から長期理由が必要となり、5月20日以降の   来院が10回を超えている為、長期頻回施術理由 記載が必要。

例2)初検日 2月25日 → 5月25日から長期理由が必要となるが、5月25日以降の来院は1回のみ。
   5月施術の来院が10回以上あるが長期該当日以降は、実日数1日のため頻回施術理由は不要。   (下図画面参照)

このように、長期理由該当日から数えて、その月の実日数が

10回以上ある → 長期頻回施術理由 記載10回以上ない → 長期頻回施術理由 記載不要


(但し、後述の 追加疑義解釈にあるとおり、月の施術回数が多いのであれば、
 長期頻回施術理由としてではなくとも、頻回になった理由を摘要欄に記載した方がベターかと思われます。)

長期頻回施術理由の記載が必要・不要 どちらのケースでも、もちろん“長期施術継続理由”は必要です。

※5/8に掲載した長期頻回施術理由の定義では、頻回施術のカウントのしかたが、
 確定していなかったため、上記 例2)の場合は 長期頻回施術理由が必要と記載しておりました。
 その翌週、頻回施術のカウント方法が判明したのと、6月に厚労省の追加疑義解釈で正式の文書通知が
 出たので、 今回より該当条件を差し替えさせていただきました。
 尚、弊社ソフトは5月発送の変更プログラムにて、上記該当条件にて、
 頻回施術対象のチェック・印刷は対応しております。

B 回数


平成24年3月12日 の厚労省通達資料 保医発0312 第1 号 に
「施術回数が頻回傾向(1月当たり10回~15回以上が継続する傾向がある場合)・・・」
との記載があります。 回数はこの通達を踏襲したものと思われます。
10回~15回以上 と曖昧な定義のため、10回だったら長期頻回理由の記載が必要なのか、
不要なのか判断がつきません。接骨師会様の方針や、先生方のご判断に委ねますが、
保険者によっては10回を基準とする可能性も考えられる為、10回以上で記載したほうが確実でしょう。

尚、協会けんぽ(県問わず全国と思われる?)では、
「長期頻回施術の回数定義を10回とし、長期頻回施術が不記載の場合は返戻とする。」といった
通達を出したようです。

C 記載方法・記載場所

[問・1]の(答)の文書内に厚労省様式[長期継続理由書]の書式があります。

上段欄が(症状・経過及び理由)下段欄が(症状・経過及び3月を超えて頻度の高い施術が必要な理由(部位ごと))

と分かれている事から、上段は“長期継続理由”・下段は“長期頻回施術理由”と項目を分けて記載するのが正しいと考えられます。

両項目にある(症状・経過及び理由)が長期継続理由 に該当するものと考えられるので
長期頻回施術理由は 「長期継続理由+頻回施術理由」になるのではないかと考えられます。
記載場所は上記様式を使用せずとも、レセプトの摘要欄に記載でも差し支えないようですので、
おそらく摘要欄に印字するケースが多くなると予想されます。項目が別になっているため、記載方法としては 下記 例のような記載になると考えられます。

例) 3部位とも長期該当だが、1部位目 3部位目が転帰をむかえ、
10回未満の施術回数になり 2部位目のみ長期頻回施術に該当

1部位目 頚部捻挫       → 長期施術継続理由 該当
2部位目 腰部捻挫       → 長期施術継続理由 + 長期頻回施術理由 該当
3部位目 左大腿部挫傷(下部) → 長期施術継続理由 該当

下図は 弊社 メディカルク 長期理由/頻回理由 入力画面イメージ
(*ご使用の VERによって仕様は異なります。)

レセプト印刷時には、摘要欄に 下記のように印字されます。
(2重線部分が長期頻回施術理由)

記載方法としてはこのような形式になります。
翌月も継続した場合で回数が10回未満になると、頻回施術理由の内容ではなく、
長期継続理由の内容に変更しないといけないため事務作業が煩雑になる事が考えられます。

D 記載内容

本来であれば 具体例の提示や詳細を明示したうえで、制度改定をおこなうべきですが、今回の改定も例によって詳細が不明瞭すぎます。アウトラインだけ決めて、後は個々の判断にお任せします。
12年ほどこの業界にいますが、毎回こんな改定ばかりです。


平成20年の改定で追加された「初検時相談支援料」も改定実施日の1週間前に急遽通達がされましたが、未だに施術録の正しい記載方法が明示されておらず、指導監査の場で施術録に相談支援内容の記載があっても 「初検時相談支援料の算定根拠が不当である」といった資料を見ます。

今回の 長期頻回施術理由 も現段階でどのような内容で記載したらいいのか
残念ながら具体例が出ていないので手探りで対応していくしかないでしょう。「例文のサンプルを作って」という御相談を頂きますが、現時点でサンプルの作成がしようにありません。
むしろ私にください。


おそらく数ヶ月後に、疑義解釈の資料に頻回施術理由の具体例がでると思われますが、
現時点で判断できる記載要項として唯一
(症状・経過及び3月を超えて頻度の高い施術が必要な理由(部位ごと))を記載。と疑義解釈資料にありますので、「長期継続理由+頻回施術理由」の記載がベターではないかと考えられます。


例) 腰部捻挫 長期頻回施術理由 2重線部分が長期頻回施術理由

「腰部捻挫 腰方形筋の筋緊張は正常化したが、前屈時の可動域制限があり、
脊柱起立筋上の疼痛が残存しており継続加療を要す。上記 症状が強く残存し、日常生活に支障をきたすため頻回の施術を要した。」

といった形で 前半を長期施術理由 後半を長期頻回施術理由 と文章自体を切り分けて
記載するのが記載要項に近いと考えられます。後半の長期頻回施術理由に関しても患者さんの生活状態は様々でしょうから 


○高齢のため治癒力弱く ~~~~ 頻回施術を必要とした。
○仕事にて患部の安静保持が難しく症状改善せず ~~~~ 頻回施術を必要とした。


と個別に記載する必要はあるでしょう。

この記載方法のメリットは、頻回施術理由記載の翌月が10回未満の来院で頻回施術理由に
該当せず長期頻継続理由のみの記載になった場合、後半の頻回理由だけ消せば、
長期継続理由になるので、事務作業が多少やりやすくなる事です。

濃厚施術の観点から考えると、「患者さんが来たから」 「毎日 来てね と言ったから」
などという理由は当然 アウトになるでしょうが、具体例が明示されてない現段階では記載要項さえ満たしていれば、保険者も返戻にはしづらいと考えられます。


「長期になる前に切った方がいいんでしょうか?」といった御相談も多々頂きましたが
今回の改定とは関係なく、「院に来院する患者さん全員が必ず3ヶ月で治癒するレセプト」
十二分に個別指導の対象になる可能性があります。
3ヶ月継続で通院している何十人の患者さんが全員必ず3ヶ月で治癒する。 → 
翌月から初検扱いで、又3ヶ月で治癒する・・ 確率的にありえませんし、
何より外傷の施術かどうか疑義を持たれて当然です。


次回は 郵便番号・電話番号記載についての考察を記載致します。

尚、今回 記載した 「長期頻回施術理由」ですが、
7/5 (金)より開始の 弊社 無料メルマガに 追加のコラムを記載しております。登録無料・登録時も 名前(ニックネーム可)だけですので、皆様 お気軽にご登録ください。

9回に渡って、下記のコラムをご登録アドレスに送信致します。

1.「25年療養費改定 HPじゃ書けないここだけの話」
2.「経済上利益提供の禁止って?~ ビラ配りもダメですか?~」
3.「えっ! 何で私が指導に・・・。」
4.「指導になるとどうなる? 実際の指導現場」
5.「患者さんが来たくなる! 最も効果的で安価な広告「ホームページ」で集患しませんか?」
6.「院を知ってもらうには?」
7.「今更聞けないレセプトの代理署名」
8.「鍼灸保険の導入~療養費請求について」9.「あん摩・マッサージ保険の導入~療養費請求について」

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