自賠責請求 part1

2023/07/31

いつもお世話になっております。ミニッツシステム開発 仁藤です。


24年10月19日に、社会保障審議会医療保険部会 第1回柔道整復療養費検討専門委員会の会合が開かれました。今後の療養費改定に対する協議の場で、公開議論は厚労省にとっても初めてとの事です。

内容に関しては 「柔道整復療養費検討専門委員会」 で検索すると記事が出ますので 概要は記載しませんが、
24年度の療養費改定は、おそらく本年度中には まず施行されないと思われます。

前回まで、「料金改定延期 予想される制度改定」のコラムを記載しておりましたが、
しばらく改定に対する情報はあまり入ってこないような気がしますので、
今回からしばらくお客様よりお問い合わせの多い「自賠責」について何回かにわけて更新していきます。
(療養費改定については、本ページ TOP 柔整・鍼灸関連情報よりご閲覧下さい。)

自賠責 PART1 

「保険会社から入金が3ヶ月ない」
「医師の診断書にない部位は認められないの?」
「逓減て絶対かけないとダメなの?」
「最初から 健康保険で事故の治療でやってくれて言われた・・」「加害者が任意保険未加入で困った・・・・」 etc

自賠責に関するお問い合わせは前から良く頂いておりましたが、ここ1年半で
お問い合わせ件数が、かなり増えたような気がします。
東日本大震災の 地震保険の支払いで損保会社も大変なのでしょうか。
地震保険だけで、今年の夏時点で 約1兆2,000億円の支払い実績があるそうで、
総額が2兆7000億と聞いた記憶があります。(ちなみに 阪神淡路震災時が783億円)損保会社の吸収・合併も増加し、審査基準が厳格化したのも要因の一つかもしれません。

自賠責に関しては、ケースバイケースすぎて 「こうしたら大丈夫!!」といった事は おそらくないです。
事故の過失割合・損保会社担当者の裁量・患者さんの負傷程度 等
様々な要因が絡んでくるのと、健康保険のような療養費支給基準や受領委任契約といった
マニュアル的な物がないので、結局 個々の交渉による事案が多いと思われます。
整骨院側としても 患者様・損保会社に対して、しっかりした説明をしていくために
自賠責の仕組み・制度を理解するのが大事です。
そこで今回のPART1では、自賠責で補償されるもの・自賠と任意の違い・用語など
基本的な事を説明いたします。

『 自動車損害賠償責任保険 (自賠責) 』

50cc以上の自動車に加入が義務づけられている 責任保険 強制保険 とも呼称。
無保険車の場合 1年以下の懲役 or  50万以下の罰金
自動車・400CC以上のバイクだと車検がある為、未加入ということは無いはずだが、
原付~400CC以下のバイクの場合、車検が無い為、自己加入が必要 (1年~5年任意で加入できる。)
自賠責は交通事故の被害者救済が目的の保険の為、物損事故には適用されない。
又、過失の大小に関わらず、ケガをした人、死亡した人が被害者となります。
停車中の車に追突した過失の多い加害者も怪我をした場合には被害者になる。

『 自賠責で支払われるもの 』

a. 治療費・・・傷害120万円 *1 後遺障害4,000万円 死亡3,000万円(減額については下図参照)        診察、入院、投薬、手術、治療にかかる費用及び診断書の発行にかかる費用
        通院にかかる交通費(タクシー代など)

b.文書料・・・交通事故証明書、被害者側の印鑑証明、住民票等

c.休業損害・・・原則として1日5,700円。立証資料等によりこれを超えることが明らかな場合、
         1日につき19,000円を限度としてその実額が支払われます。
         ※専業主婦の方も請求が可能だが、休業によって収入の減少があったもの

d.慰謝料・・・1日につき4,200円が支払われる。
        期間内実日数×2 OR 期間 の少ない日数
        例)実日数 40日 期間100日 (40×2=80)< 100 よって80回

*1 整骨院の施術は 傷害に該当。120万円の中に上記 a・b・c・d が含まれる。

減額適用上の被害者の過失割合減額割合
後遺障害または死亡に係るもの傷害に係るもの
7割未満減額なし減額なし 120万
7割以上8割未満2割減額2割減額  96万
8割以上9割未満3割減額
9割以上10割未満5割減額

『 その他の自賠責 』

①自動車損害賠償責任共済
通常の自 賠と変わらない。
JA共済 全労済など損害保険料率算出機構を通さず、自社で審査をしている。

②自動車損害賠償保証事業(政府保証事業)
ひき逃げ 無保険車の事故の場合に政府が立替払いする。
入金まで時間がかかるが、どこの損保会社でも受け付けてくれる。

『 損害保険料率算出機構 』

損害保険料率算定会と自動車保険料率算定会が統合し、平成14年(2002年)7月1日、
新たに業務を開始した料率算出団体。調査会社と呼称される事もあり。
会員は大手損保会社診療報酬(レセプト)は最終的にこの機関がチェック・支払額を決定。

○主な業務内容 (火災・障害・介護等もあるが、自賠責のカテゴリのものを記載。)
1.自賠責事故調査・・・自動車事故の事故損害調査
2.料率算出業務・・・・各会員(損保会社)よりあがった診療報酬等を元に自賠責の掛け金・支払い等を算出3.データバンク・・・・事故状況・診療報酬支払い等の自動事故に関わるデータを蓄積

余談であるが、自賠責の支払いは120万が限度だが人身事故の支払いの8割が自賠責で支払いが完了している。120万を超えた治療費を任意保険が支払うケースは約2割という事になる。

『 任意保険について 』

自賠責保険は、人身事故の被害者が必要最小限の補償を確保するための保険です。
よって自賠責保険には限度額が定められています。
下の図のように任意保険は自賠責保険の限度額ではカバーしきれない部分を補償する保険ということになります
(加害者が任意保険に加入していた場合。)

『 一括請求 』

自賠と任意が違う保険会社の場合で、任意側が自賠の手続きも一括して行う事。 一般的にはこのケースが多い。
被害者のメリットとしては、自賠・任意それぞれに請求手続きを行う必要はなくなる為、煩雑さが省ける。保険会社のメリットは、治療内容等を把握でき、賠償の見通しが立ち、示談交渉等のペースを握ることができる。転帰請求とは異なる。

『 目安料金 』

同封の資料にも、自賠責の料金表がありますが、自賠責は原則 自由診療扱いになりますので厳密な料金表はありません。又、現在は独禁法に抵触するおそれがあるため、“協定料金” といったものは存在しません。
会や損保会社さんの料金表を見せて貰うと “目安表” と書かれているはずです。
目安表には ○3部位目以降 ○4ヶ月目~ いづれかの条件で 後療・罨法・電料に対し
逓減された金額が記載されています。(厳密には逓減ではない。)

次回は 部位数・逓減について記載致します。