柔整の窓口負担金設定について

2023/07/31

こんにちは。ミニッツシステム開発株式会社の井口です。
コラム復活しますとか宣言していたにも関わらず結構サボってしまいました…すみません。

以前、仁藤が更新したコラムに柔整の窓口金のお話が出ましたので、補足というかそもそも窓口負担金と一部負担金とは、を解説します。

まずは療養費の一部負担金の取扱いについて復習しましょう。
昨年7月に私が書いた渾身のコラム「続・あはき一部負担金の正しい徴収の仕方、知ってますか?」をご一読、いやご三読くらいしてください。
https://www.msd-net.co.jp/mt_suta67.html

あはきの一部負担金について書いていますが、あはきも柔整も同じ療養費なので根本は一緒です。
一点あはきと違うのは、院が受領委任契約(協定)を結んでいて、患者が受領委任に納得してレセプトに署名をした段階で柔整の場合は受領委任での取扱いが確定されるところですね。

で、窓口負担金とはなんぞやということですが、もうこれは言葉の通り「窓口で患者様が負担するお金」です。
実費も含め窓口で支払いする金額のことです。

例えば窓口でこの図のような定額徴収をしている院も多いかと思われます。

この徴収方法は実際に計算した保険の一部負担金が定額を上回らない限りは大きな問題はないように見えます。
しかし、例えば3割負担・初回来院時の一部負担金が710円だとして、定額徴収で750円徴収していた場合、差額40円は保険外の金額となります。

この保険外の説明ができないといけない訳です。

で、良く聞くのが
「テーピング代」「衛生材料費」みたいな回答です。

ですが、柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項に
「骨折、脱臼、打撲及び捻挫に対する施術料は、膏薬、湿布薬等を使用した場合の薬剤料、材料代等を含むものであること」
とあるため、保険適用部位に対して上記の説明は成り立たないです。

あとは「延長施術をした分」という回答も良くあります。

が、そもそも柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項には施術時間の規程はありません。
つまり保険適用部位に対して5分施術使用が1時間施術しようが、当該部位に対しての保険適用施術料金は一定です。
延長・短縮の概念がないのです。

そもそも保険の一部負担金との差額の説明をしようとするから矛盾が生じる訳です。
上記でリンクに貼ったコラムにもある通り、療養費の根本は償還払いです。

院が決めた金額で施術を行って患者から全額徴収し、その中で保険適用できる部分を患者が保険者に保険者負担分を請求するのが償還払い。
そのルールの上から受領委任契約が被っているので分かりにくいですが、本来施術の料金を決める権利は柔整師側にあります。

なので、正しい回答は

「当院での柔道整復施術は健康保険適用するしないに関わらずこの料金表を基準として、負担割合に合わせて窓口負担金設定をしています。」

ですね。

ただし、この説明をするからには、同じ10割の金額のはずなのに負担割合に応じて金額に大きな差があってはいけません。
下記の図がダメな例です。

※窓口負担金設定の仕方についてここでの解説が誤っておりましたので、訂正の記事を挙げております。
こちらも併せてご確認ください。

憲法においても法の下の平等が謳われており、またすべての人は差別されることなく良質な医療を受ける権利を有します。

つまり、同じ部位数で同じ初回の来院なのに、その患者の症状・施術に関して特定の理由(料金が多くかかる骨折・脱臼である等)がないにも関わらず、持っている保険証の負担割合で最初から支払い金額に差が生じてはならないのです。

結構ネットとかで窓口の定額徴収の差額の説明について探してみても、「テーピング代・衛生材料費」「延長施術」はダメですよーっていう記述は見つけても、じゃあなんて答えるのが正解なの?の回答が見つからなくてヤキモキしてました。

私もこの答えにたどり着くまで時間がかかりました。
一部負担金前提で考えてしまうから差額のことばっかり考えてしまって…
シンプルに「療養費は償還払い」とした前回コラムを書いてみてから答えが分かった感じです。

先日仁藤が書いたコラムでのお話や、高橋が書いた価格設定は自分で行うものなんだよというコラムのちょっとした補足になればと思い書いてみましたが、思った以上に疲れました笑

でも、このお話を口頭でお伝えしても中々伝わらないことが多くて、今回は前回のコラムも使用しながら文章と図にできたので満足です!

ご質問やこれは違うと思う!等ございましたらいつでもミニッツシステム開発株式会社の井口宛にご連絡下さい。