続・あはき一部負担金の正しい徴収の仕方、知ってますか?

2023/07/31

こんにちは。ミニッツシステム開発の井口です。
3月15日に更新したコラム「あはき一部負担金の正しい徴収の仕方、知ってますか?」ですが、反響が大きくお電話でのお問い合わせや、施術所へ訪問した際に「見たよー!詳しく聞きたいんだけど…」なんてお声がけ頂くことが多かったです。

今更ですが、頂いたお問い合わせで1番多かったものにお答えします。

「受領委任は規程があるのでレセコンで出た金額を徴収するようにするが
代理受領の場合、四捨五入して下回って徴収した場合はどうなるの?」

まずは前提としてあはき柔整は『療養費』になります。 『療養費』の取扱いは以下の図の通り、患者は施術を受けるために施術費用の全額を支払い、その内健康保険の適用となる金額を保険者へ請求し、『療養費の給付を受け』ます。(償還払い)

実際には【受領委任】【代理受領】のどっちが適用であっても根本のルールが「償還払い」であることをまずは頭に入れておいてください。

そして【償還払い】の根本は【自由診療】です。
施術にかかった費用に関しては施術者が決定し、それを患者に100%請求することができます。

分かりやすいのが海外療養費です。
海外では日本の医療保険のルールは適用されず、全額自腹で海外の医療を現地の金額で受けることとなります。

治療にかかった費用が30,000円で日本の医療費の規程で換算し療養費にあたる金額が20,000円であった場合
以下の図のようになります。

※図は3割負担の患者の場合

更にもう1パターン
治療にかかった費用が18,000円で日本の医療費の規程で換算し療養費にあたる金額が20,000円であった場合
以下の図のようになります。

※図は3割負担の患者の場合

つまり、療養費の規程金額はあくまで「上限規程」であり
元々患者が支払った金額が規程金額以下の場合は、実際に支払った金額に保険者負担割合を乗じた金額が償還されます。

代理受領の場合はこの計算が患者が支払った一部負担金から逆算する形になります。

つまり、はりきゅうの療養費に当てはめると以下の通りです。

※共通の設定として 患者は保険証の負担割合1割。
受けた施術は「はり1術」
療養費の支給基準での金額は「1術 1,540円」
療養費の支給基準での一部負担金は「154円」が上限

①窓口での徴収額を「154円」とした場合
費用額(10割)は「1,540円」
患者が保険者から受け取る療養費の額(9割)は「1,386円」

②窓口での徴収額を「160円」とした場合
費用額(10割)は「1,540円」
上限「154円」を超えた部分は自費診療分「6円」
患者が保険者から受け取る療養費の額(9割)は「1,386円」

③窓口での徴収額を「150円」とした場合
上限「154円」を超えないので、150円から逆算して費用額(10割)は「1,500円」
患者が保険者から受け取る療養費の額(9割)は「1,350円」

つまり保険者にはレセコンで計算した①の金額でレセプトの申請をしているのに、実際の窓口での徴収額が③のパターンの場合、保険者支払い分の調整が行われる可能性があります。
というか不正請求に当たる可能性があります。

なので答えとしては【四捨五入して徴収してもかまわないが、その場合はその金額から計算される保険適用分しかレセプト申請できません】となります。

長くなりましたが以上です!

ご質問などありましたらプロダクトPRグループ井口までご連絡下さい 。