整骨院保険請求 お悩みではないですか?PART2負傷日・初検日について

2023/07/31

整骨院保険請求 お悩みではないですか?
いつもお世話になっております。ミニッツの仁藤です。
メルマガアンケートで皆様から頂いた保険請求のご質問で多かったテーマについてコラムを記載しております。

PART2 負傷日・初検日について

今回は 負傷日と初検日の関連性について記載します。

メルマガ ご質問
「問診で負傷原因を患者さんから聞いた際、負傷日が10日程前だったんですが、
 このまま10日前の負傷日でレセプト出しても問題ないでしょうか?」

仕事柄、先生方のレセプトやデータを拝見する事が多いのですが、この負傷日 初検 圧倒的大多数が、初検日の前日負傷です。

2/10 が初検日だと 2/9  が負傷。
2/1  が初検日だと 1/31 が負傷。
怪我をした患者さんが全員、必ず次の日に整骨院に来院するわけです。

今回のコラムを作成するにあたり、担当しているグループ院様のご了承を得た上で、統計をとってみました。
グループ院様の中から、5年以上やっている店舗を3院ピックアップ。
過去5年間の 初検・部位追加の 負傷日と初検日を抜き出してみました。
(自賠・労災は除く)
1院当たり初検のデータが 約1,500件 × 3院 = 約4,500のデータで初検日の前に負傷日があるデータが、驚異の100%でした。

そこのグループさんは、土曜半休・日曜休みです。負傷日の前日に100%怪我をするという前提で、まさかと思いもう一つ調査をしてみました。「土曜日に負傷した患者さん」

結果は見るまでもなかったですが、0 でした。 月火水木金 日 に怪我をする人はランダムいるのに、土曜日に怪我した人は 0 です。 
例えばこのデータが、1院で過去1年分でしたら、「まあそういう事もなくはないかな?」
という判断もできますが、これだけのデータ数で、100% 0% が出るというのは統計学的にありえません。

患者さんには千差万別の生活環境があります。
 「今日 肩を痛めたけど、明日は仕事遅くなりそうだから、明後日行こう。」
 「ちょっと辛いけど、明日から旅行だから帰ってから行こう。」と負傷から初検が数日空く事も当然あります。

負傷日が初検日の前日になってしまう理由は、私が考えるに3つあります。

① 負傷原因を正確に聞き取れていない
負傷原因には いつ・どこで・誰が・何を・どのようにして・どうした の5W1Hの理由が必要になります。(誰?はわかりきっているので不要です。)
この情報を正確に聞き取れていれば、いつ? といった負傷日は明確になるわけですが、聞き取れていない、又は聞いていない為、画一的に 前日負傷となっているのではないでしょうか?

② 急性・亜急性といった保険適用の定義から外れてしまうのでは?
ご周知のとおり整骨院の保険適用には、急性・亜急性の原因がある外傷です。
負傷日から数日経ってしまうと、急性・亜急性から外れてしまうので、返戻されてしまうのではないか?という考えを持たれている先生が多いような気がします。

ここで問題になるのが、亜急性の定義です。
整形では、受傷から2日位を 急性、 受傷から2~3週間を亜急性と受傷後の期間にて急性(期)・ 亜急性(期)と時間の経過概念で考える事が多いようです。
しかし残念ながら柔整においてこの亜急性の定義は、現在明確に存在しません。反復性の外的圧力要因や微小の外力、この外力にかかるストレスによる組織断裂によって負傷したものも、亜急性と考えられます。

単純に負傷から経過した期間において、急性・亜急性が定められている訳ではないようです。
本来であれば医学学術を考慮した上で、柔整の 急性・亜急性はこのようものである。
といった定義を厚労省として出すべきでしょうが、議論が進む事が全くないので、当てになりません。
定義や正解がない物事に対して、判断基準をする場合、多少なりとも共通性がある事を参考にするのが無難です。
同じ外傷を治療する整形外科が受傷から2日位を急性。受傷から2~3週間を亜急性と考えているなら  それに準じた考えは別におかしくないのかなと考えます。

最初の質問の
「問診で負傷原因を患者さんから聞いた際、負傷日が10日程前だったんですが、このまま10日前の負傷日でレセプト出しても問題ないでしょうか?」

「受傷日からの期間によって急性・亜急性を判断する」と、皆様が判断されるのであれば、10日前の負傷は亜急性に該当しますので、問題はないのではないでしょうか。

といったわけで、負傷日から初検日が多少の期間が空いたとしても、保険適用外と言われる事は少ないのではないかと考えます。
但し、日にちが空いた理由はレセプトには記載するべきでしょう。

接骨師会によっては、負傷日から 7日 or 8日 以上初検が空いた場合には空いた理由を記載して下さいと指導している会もあります。

何故か?

初検日(初回日)には部位毎に、施療料 760円 (27年1月時点)が算定できます。
2回目からは後療料 505円になります。
この施療料 所謂 初回処置料は、最初に患部に触る時に算定できる料金です。
負傷から初検が7日以上空いて、施療料(初回処置料)を算定した場合「これだけの期間が空いたのに初回処置をする必要性が考えられません。」と返戻してくる保険者があるようです。

もちろん全ての保険者が上記のような理由で返戻するわけではありませんし、現在の制度上、負傷から初検が空いた場合に理由を記載しなさいといったルールも存在しません。
ですが、余計な返戻を減らす為にも、算定した根拠を明記するにこした事はありません。
記載内容ですが、一例として下記のような例が挙げられます。
 A「受傷後、自宅にて自然治癒を期待するも症状改善せず、当医院に来院。
   初回時の疼痛が顕著な為、初回処置をおこなう。」
 B「受傷後、仕事多忙にて来院できず。初回時の圧痛が顕著な為、初回処置をおこなう。」

③ 冷罨法が算定できないから、金額的に損ではないか?
負傷日当日 ・ 負傷日の翌日に来院した場合は、冷罨法 80円が部位毎に算定できます。
負傷日から2日以上経った場合は算定できません。
この部分だけで考えると、負傷日・初検日は空いてない方が金額的には高いです。
ですが、2回目以降の来院日によっては同じ初検日でも負傷日が空いた方が金額が高くなります。
先に正解を記載しますが、「初検日から、空けずに来院が続いた場合は、負傷日が空いた方が金額が高くなります。」

少し見づらいかもしれませんが、下記のレセプトがその例になります。

1部位目 頸部捻挫 27年1月1日負傷 →1月5日開始
2部位目 腰部捻挫 27年1月4日負傷 →1月5日開始
来院日  5・6・7・8
初検日は同一ですが、負傷日が異なるレセプトです。

内訳
1後療505×3=1,515 冷罨法無 温罨法75×3=225 電療30×3回=90>円 計1,830
2後療505×3=1,515 冷罨法80×1=80 温罨法無し 電療無し      計1,595


負傷日が空いた1部位目の頸部捻挫の方が、235円程合計が高くなります。
理由としては 温罨法・電療の算定期間にあります。

温罨法・電療は、負傷日から起算して6日目から算定可能になり、
1部位目は、負傷日が1日ですので、1・2・3・4・5・6
1月6日から温罨法電料が算定可能です。

対して2部位目は、負傷日が4日ですので、 4・5・6・7・8・9
1月9日から温罨法電料が算定可能になるので、1月9日以降に来院がない場合は当然算定できません。

このように初検日から連続で来院があった場合には、負傷日と初検日が空いた方が金額が高くなります。
余談になりますが、温罨法・電療料は、初回日の施療料 760円とは同時に算定できません。負傷日から起算して6日目からの後療料を算定した場合に算定できる項目です。

乱筆になりましたが、上記3つの理由から負傷日と初検日を空けてはならないという
必要性は個人的にはないと考えています。

毎度で言い逃れみたいで、申し訳ありませんが、柔整の保険請求には厳密な正解がありません。
整骨院・整骨師会・保険者で個々の解釈が当然あります。今回のコラムも皆様の判断材料のお一つとしてご参照頂ければ幸いです。
保険の改定情報等がなければ次回も「整骨院保険請求 お悩みではないですか?」を記載する予定ですので是非、弊社メルマガアンケートにて、皆様のお悩みをお聞かせ下さい!